地元密着型企業の底力
私の実家がある街には、「●●●株式会社」という大手メーカーの本社と工場があった。友だちのお父さんは、その「●●●」にお勤めの人が多かったし、地元の若者の就職先としても人気だった。
市営の野外競技場では「●●●」のサッカーチームが練習する風景が見れたし、神社へ行けば、石の柱に寄進者として「●●●」の名前が彫られていた。
私自身、学生アルバイトではあったけれど、夏休みに帰省してお世話になったのは、やっぱり「●●●」の工場だった。パートのおばちゃんたちに混ざって初めて流れ作業を体験して、けっこう楽しかった。着替えるのがめんどくさくて、「●●●」の名前が入った作業着を着たまま、毎朝、家から工場まで自転車を漕いだ。
故郷の思い出の一コマには、どこかに必ず「●●●」がある。懐かしい。
まぁ、株は買ってないけどね←いきなり現在(笑)。
綾部市のみなさん、日東精工っていい会社ですよね!
とにかくです。地域には雇用創出や納税で街の役に立つだけじゃなく、そうやって地元の人々の心のより所となるような企業があるものです。
京都府綾部市に本社を置く〈5957〉日東精工も、そんな企業の一つかもしれません。日東精工は、工業用のネジを作る会社です。ネジというと「下町ロケット」みたいな町工場を想像するかもしれないけれど、ここは、東証プライム市場に上場する業界きっての大手。そしてなんといっても、「人に喜ばれる仕事をし、社会に信頼され貢献する」のが企業理念の誠実で立派な会社です。
日東精工で有名なのは、毎年受験シーズンに行われるあるキャンペーンです。
それは、ギザタイトと呼ばれるゆるみ止めネジを、「ゆるみにくい、集中力持続」を表す応援グッズとして、受験生にプレゼントすること。ネジの頭が五角なのも「合格」を連想させて人気みたいですよ。
その日東精工、現在、株価497円。決してみんなが注目する華やかなトレンド銘柄というわけじゃありません。
画期的技術で、やがて世界をアッといわせる……であろう
だけど、私は知っている……。
あれは、私が株を始めたばかりの昨年5月頃。こんな記事を読んだんです。
世界で初めて溶けるネジの製作に成功!
溶けるネジ? はい、そうなんです。骨折なんかしたとき手術で骨を固定するネジを入れることがあるでしょ。その入れたネジが、骨がくっついた頃に溶けてなくなっちゃうということ。つまり、普通ならネジを入れたら後でしなきゃいけなかった除去手術が不要になるということです。
これ、嬉しいですよね。うちの母も以前足を骨折して手術しましたが、この除去手術がイヤで「どうせそのうち死ぬからいい」とグチグチウジウジしていたことがありましたっけ。やっぱり特に高齢になると、また麻酔してメスを入れるって負担ですよね。口の悪い家族は「骨と一緒にネジが残ってもいいのか」と手術をすすめたわけですが……。
いずれにしても、骨をもつなぐ強固なネジが溶けちゃうなんて不思議。その秘密は高純度マグネシウムという素材にあるらしいです。マグネシウムは人間の体にとって必要な元素だし、余分なものは体外に排出されるので安心だそう。もちろんただのマグネシウムじゃなく、「高純度」ってとこが画期的な技術であり企業秘密なんだと思います。
つくづく、テクノロジーは未来の暮らしを変えますね。
昨年の記事によれば、日東精工がこの溶けるネジを商品化・量産化するのは5年後とありました。ということは、その日がくるのは2026年。そのとき、株価がワッと噴き上がるかも。このニュースを忘れないように、今から2026年にリマインダーかけとかなきゃ!